エネルギーから、畑へ。畑から、食卓へ。

エネルギーから、畑へ。畑から、食卓へ。

なぜ、環境プラントの会社がにんにくを育てるのか。

排ガス処理設備やリサイクル設備を手がけてきた会社が、なぜ、にんにくを育てているのか。

その理由をたどると、米沢で運営するバイオガス発電プラントと、そこから生まれる資源をどう活かすかという問いに行き着きます。

THE GARLIC & LABのにんにくづくりは、農業から始まった事業ではありません。バイオガス発電を、発電だけで終わらせないために始まった取り組みです。

発電で、終わらせない

THE GARLIC & LABを運営するハイポテックは、1997年の設立以来、排ガス処理設備やリサイクル設備などを手がけてきた、環境プラントエンジニアリング企業です。

2011年の東日本大震災を契機に、地域の資源を地域の中で活かすエネルギーのあり方を考え、2013年から再生可能エネルギー分野へ参入。2020年には、山形県米沢市で自社設計のメタン発酵バイオガス発電プラントを稼働させました。

プラントが受け入れているのは、地域の酪農・畜産業から出る家畜排せつ物や、食品残渣などです。これらを微生物の力で発酵させ、そこで生まれたバイオガスを燃料に、電気をつくり、発電時に生じる熱も活用しています。

ただ、プラントの運営を続けるなかで、私たちの関心は少しずつ、その先へと向かっていきました。

メタン発酵のあとには、「消化液」と呼ばれる液体が生まれます。また、発電時に生じる熱は、冬季にはプラント構内の融雪に利用していますが、季節によっては、すべてを使い切れないこともあります。

電気だけでなく、こうして生まれる消化液や熱にも、さらに別の活かし方があるのではないか。

プラントの営みから生まれたその問いが、私たちの次の取り組みの出発点になりました。

「使える」と「使われる」のあいだ

消化液には、窒素やリン酸、カリウムなど、作物の生育に必要な成分が含まれています。肥料として農地へ還すことができれば、地域から集められた有機資源を、もう一度、地域の農業に活かすことができます。

欧州では、バイオガスプラントから生まれる消化液の農業利用が広く行われています。一方、日本ではまだ広く普及しているとはいえません。

肥料としてどの程度の効果があるのか。作物の品質に影響はないのか。どのように保管し、散布するのか。農業の現場で実際に使うためには、確かめなければならないことがいくつもあります。

成分上、肥料として「使える」というだけでは、実際に「使われる」ものにはなりません。

それなら、まずは自分たちで作物を育て、その可能性を確かめよう。

そこから、ハイポテックにとって初めてとなる農業への取り組みが始まりました。

にんにくを選んだ理由

消化液を農業に活用する。その構想を具体的な取り組みにするためには、まず、何を育てるのかを決める必要がありました。

数ある作物の中から私たちが選んだのが、にんにくです。

にんにくには寒冷地に適した品種があり、米沢の気候を生かした栽培に取り組めます。そして何より、私たち自身が、にんにくという食材に魅力を感じていました。

料理に少し加えるだけで、香りや味わいを大きく変えてくれる。身近な食材でありながら、乾燥やペースト、オイル、黒にんにくなど、加工の仕方によってさまざまな楽しみ方が生まれます。

加工の内容によっては、将来的にプラントから生まれる熱などを活用できる可能性もあります。米沢で育て、その先の商品づくりまで自分たちで手がけていく。にんにくは、私たちが思い描いていた取り組みの形に、よく合う作物でした。

こうして2023年、米沢市の自社試験圃場で、消化液を使ったにんにく栽培の実証試験を始めました。まずは自分たちの手で育てながら、この土地に合った栽培方法と、消化液を農業に活用する可能性を確かめています。

循環を、食卓へ。

地域の有機資源から、電気や熱をつくる。そこで生まれた消化液を畑へ還し、にんにくを育てる。今後は、プラントの熱や余剰バイオガスを加工にも活かし、商品として届けていく。

発電、栽培、加工、販売をつなぎ、地域の中で資源がめぐる仕組みを形にする。私たちは、この取り組みを通して、循環型社会の実現に貢献したいと考えています。

そして何より、にんにくのおいしさを、より多くの人へ届けること。そのおいしさが、米沢で進めている取り組みや、地域の資源循環について知ってもらうきっかけにもなればと思っています。

エネルギーから畑へ。畑から食卓へ。

地域の資源をつなぎ、おいしい形にして、米沢から届けていきます。